カモメノート

自由帳

コンサートのはなし

しばしば、好きな歌手はいる?と聞かれることがあるが、答え方にすごく悩む。

aikoは好きだけれど、新曲が出たら絶対に聴くわけじゃない。曲も全体の5分の2〜3くらいしか聴いていないと思う。ましてや、ライブに行ったことなど一度もない。ライブの抽選が面倒くさいから、申し込んだことすらない。

友達が好きな歌手の話をする時、かならずライブに申し込み、関西でも名古屋でも埼玉でもどこでも行くのを見ると、ライブの申し込みすら面倒くさがる身分で、「aikoがすきです」とはなかなかいえない。

私はものぐさの権化みたいな人間だから、ライブに申し込むのも、振り込みも、当日電車に乗るのも、人混みの会場も、並ぶであろうお手洗いも、混雑してなかなか駅まで辿り着けない帰り道も、想像するだけで辛い。

そんな私でもたまに行くのが、クラシックのコンサートだ。抽選になることはまずないし、aikoのライブと比べたらはるかに混まない。席によっては金額も手頃だ。有名な曲であれば聴いていて楽しい。知らない曲でも、いいな!と思える曲だとあっという間に時間が過ぎる。あんまり好きじゃないかも...という曲のときは、演奏者を見る。私は楽器が弾けないので、謎の楽器たち(多分有名だけれど、私は名前を知らない)を見ているだけでも面白い。シンバルが今叩くぞ!といわんばかりに構えているときは、ドキドキする。お手洗いは若干混むけれど、まあ休日の新宿みたいなものだと思えば問題ない。

コンサートに行くようになったきっかけは、2016年にウラディーミル・アシュケナージとヴォフカ・アシュケナージの日本公演に行ったことだ。スメタナモルダウが好きで、生で聴きたいなと思っていたところ、たまたまその日本公演のプログラムにモルダウが組み込まれていたのだ。正直もう4年も経つので、モルダウのことはあまり覚えていない。むしろ、グリンカの「幻想的ワルツ」という曲の方が頭に残っている。導入は力強く厳かで、中盤から軽やかな響きに転じる。私は単純なので、聴いているとロシアへいきたくなる。

Waltz Fantasy

Waltz Fantasy

 

それから、いくつかコンサートへ行った。聴いて良かったなと思ったのがヴィヴァルディの四季で、「春」の第一楽章こそ有名で聴いたことがあるが、その後冬まで通して聴いたことはなかった。機会がないとなかなか聴かないものだ。「これが夏?なんだか暗くて冬みたい」だとか「秋の第一楽章が楽しそうで好きだな」とか、勝手な感想を抱いて楽しんでいる。

ホルストの「惑星」も、通しで聞いて楽しかった。たまたま舞台の目の前だったので、近くで聴く「火星」は迫力があったし、楽器の弾き方を見るのも楽しかった。「海王星」は女声合唱の場面があるのだが、不気味で不思議な響きだった。

 

今年はまだコンサートへ行けていない。もともと3月に、プログラムにモルダウが組み込まれたコンサートへ行く予定が、コロナのために中止になってしまった。コロナがいなくなってくれた時には、今度こそ聴きに行きたい。